「健康と社会 (17)」第2回
「健康と社会(17)」第2回は「病いの経験と患者の生活の質」です。
最近体調不良が続いていたので^^;、健康のありがたさを噛み締めながら復習していきますね。
体調が悪いと、勉強する気力や体力もでてこないもんね。勉強できる健康状態であることに感謝だね!
コース科目:導入科目(生活と福祉)
主任講師名:井上 洋士、山崎 喜比古
<視点1>病気になったときにすること、させられること
第2回では、病気になるとはどういうことなのか?を、次の2つの視点から考えていきます。
①病気になったときにすること、させられること
②病気になったときに考えること
①の<病気になったときにすること、させられること>には、「病気行動」と「病者役割行動」があります。
この2つの行動は、どう違うんだろう?
◆病気行動…自分が病気ではないかと疑いはじめたときにとる行動のこと。
◆病者役割行動…薬を飲んだり休んだりして治療に専念する行動。病気になると、普段の役割〈会社員、学生など〉から離れて新しい病者としての役割ができる。
また、社会学者であるT.パーソンズが提唱した「病人役割」の概念では、病気になると2つの権利と2つの義務が生じると述べました。
【権利①】病気に対して本人の責任が問われない
【権利②】通常の役割遂行からの一時的免除
【義務①】病気を受け入れ、回復しようとする義務
【義務②】専門家の援助を求め、協力する義務
病気になったことに対して本人の責任は問わないけど、お医者さんなどの力を借りつつ回復することに努めてね、ってことだね!
<視点2>病気になったときに考えること
精神医学者のクラインマンは、「疾患(desease)」と「病い(illness)」を区別しました。
またまた同じような意味の言葉に思えるけど、どう違うんだろう?
「疾患(desease)」とは、治療する人(医師)から見た視点での言葉です。
一方の「病い(illness)」は、病気になった側(治療を受ける)の経験を表しており、患者さんが病気をどのように認識し、どのように反応するのかを表している言葉です。
さらに、病気の持つ社会的な側面を重視したものとして「シックネス」という表現もあります。
語ることが道標となる『ナラティブ・アプローチ』
かつての医療専門家の間では<疾患>での見方に偏ってきたため、<病いの経験>による視点は、比較的新しい見方となるそうです。
この、新たな視点である病の経験による「病いの語り」の考え方をベースとして、「物語(narrative)」を通して解決法を見出していくアプローチ方法を、<ナラティブ・アプローチ>といいます。
患者さんが感じたこと、考えたこと、経験したこと…etc.、それらを語っていくことで、ひとつの物語になっていくんですね。
病気そのものの解明や治療の研究をするためにも、医療者が<疾病>として捉える部分も必要だと思います。
ただ、医療者が<疾病>の視点に偏りすぎてしまうことで、実際に病気を経験している患者さんとの間に大きいギャップが出来てしまいます。
そのギャップを埋めるためにも、医療界には『患者さんに語ってもらうこと、そして物語に耳を傾けること』を治療に必要な過程として、<ナラティブ・アプローチ>にも重きをおいてもらえることを願います。
セルフヘルプグループ
「物語(narrative)」を通して解決法を見出していくナラティブ・アプローチの例として、『セルフヘルプグループ』がとりあげられていました。
だいぶ昔のことですが、私の夫が病気で辛そうなときに「何か良い方法はないかな?」と調べていたところ、セルフヘルプグループの存在を知り、参加を勧めたことがありました。
そして、私自身も家族用のセルフヘルプグループに参加を考えたことがありました。
当時は場所や日時の都合がつかず、結果的に夫も私も参加には至りませんでした。
でもこうした活動があるということを知ったことだけでも、<困ったときにいつでも参加できる場がある>という安心感をもつことができました(^^)
セルフヘルプグループの存在そのものに救われたような気持ち、というのでしょうか…。
<言いっぱなし、聞きっぱなし>だから問題に向き合える
セルフヘルプグループでのミーティングの特徴として、参加者は他の参加者の語りに耳を傾けることに徹し、決して意見や感想を述べたりしないという点です。
『言いっぱなし、聞きっぱなし』ということですね。
日常やネットの場では、批判や炎上が起こりるうる世界ですが^^;、セルフヘルプグループのミーティング場面では、批判も説教もされる心配はないのです。
なにか意見や感想を言われてしまうと、自由に語ることができなくなります。特に否定されてしまったら、その時点で何も話したくなくなりますもんね。
まずは善悪や否定・肯定を抜きにして自由に自分の思ったこと、考えを語れる場であるというところが大切なんだと思います。
自分で語り、それを他者に聴いてもらう。
そして自分と他者の語りに耳を傾けることで、丸ごとの自分に向き合うことができて新たな気づきを得ていく、、、ということなのでしょうね。
海外ドラマ「THIS IS US」でも、断酒会や依存症のミーティングに参加している場面がたびたび出てきました。
日本のドラマだと、そうした光景ってあまり見かけないように思いますが、海外だと日本よりもセルフヘルプグループが普及しており、より日常的な支援の場となっているのかもしれません。
最近は、オンラインでのミーティングや活動を実施しているところもあるようです。
困った時、悩みを抱えたときの選択肢のひとつとして、こうしたセルフヘルプグループ(自助グループ)の存在を知っておくと良いと思います(^o^)
自分一人だけじゃないんだ、と思えるだけでも心が軽くなるもんね!
悩みを他者に共有することで、自分の問題にも向き合いやすくなるのかもしれないね
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